本音のところで「節税」を目的として、生命保険に加入する場合、先ずは、保険に加入する資金のみを考えてください。 通常、生命保険に加入する場合は被保険者になりうる方の体況(健康状態)や将来のライフプランなどを考えて、保険金額や保険期間、保険商品を選びます。 「節税」目的の生命保険は、保険金額や保障内容はあまり重視されません。より加入しやすく、より保険料(掛け金)が高く、より解約返戻金(解約した時払い戻されるお金)が多いかというところが、商品選びの基準となります。もちろん保険商品によって経理処理が違うので、いくら解約返戻金が良いからといっても、その保険料の全額が資産に計上されるような保険商品では意味がありません。 各保険商品の保険料が、「全額損金計上」、「全額資金計上」、「一部損金計上」などに分かれるのは、税務通達(税務当局が処理方法を明文化したもの)により規定されています。各保険会社は、その規定範囲内で全額損金計上になる商品や、半分だけ損金計上になる商品を法人向けの保険商品として売り出しています。 保険商品の提案書の内容も、保険金額、保障内容よりも大きく載っているのが、CV経過例表というもので、保険料の累計、解約返戻金の推移、解約返戻率などが各年ごとに載っている表です。 |
結局のところ「節税」が目的ですから、いかに利益を圧縮するかということです。 そして、この場合、加入する生命保険の年間保険料(通常年払いにする)金額が、利益を圧縮する資金となり、また解約返戻金というかたちで、将来への貯蓄となるわけです。 この解約返戻金は、まさに帳簿外の貯蓄で解約して返戻金を受け取るまで、税務の手入れを受けることがありません。 逆に、この解約返戻金を受け取る時の対策をよく検討しないと、せっかく長年繰り延べしてきた納税分を一気に支払わなければならない。これでは意味がありません。
加入する生命保険の保険料が全額損金計上できるタイプであれば、節税効果も上がります。 加入する生命保険の保険料のうち、半分が損金計上、残りの半分が資産計上というタイプもあります。 |
また、最近の決算対策でよく使われる「ガン保険」は、特に医師による診査が不要で、(告知書記入か、被保険者がある一定の人数を満たした場合、団体契約で一括告知省略というタイプもある)申込依頼して、最短3日程度で契約することができるので、決算直前の駆け込み加入ということも珍しくありません。 そしてこの「ガン保険」は、例えば初年度1回しか払えず、被保険者の退職や或いは業績不振で、解約した場合も、加入年齢にもよりますが、70%前後の解約返戻率がありますので(しかも全損タイプ)節税効果を加味して考えた場合、実質損はでない計算になります。 |
それと、何より生命保険で節税と帳簿外の貯蓄をする最大のメリットは、現金化が速いというところです。 解約手続きは解約申込書等の書類が保険会社に届いてから通常4営業日で着金なので、郵送等によるロスを考えて1週間程度です。 会社の為、必要な時、直ぐに現金化できる「緊急予備資金」としても備える事が出来ます。 |
保険加入で節税をした場合のデメリット(リスク)として、1つは税制変更のリスクです。保険料の大部分が損金処理していいと認められているから、高い保険料を払って保険に加入する。しかし、継続期間中に税制のルール変更があった場合、例えば一部損金処理が認められなくなった場合、以後の節税効果が減少します。各保険会社は新税制が出れば、また新しいルールに沿った新商品を開発していきます。税制と保険会社の新商品開発にいては、イタチごっこを続けています。新商品が出れば今まで続けてきた保険を数年に分けて少しづつ切り崩して新商品にシフトしていくなどの方法も考えられます。 もう1つのリスクは、従業員を被保険者として保険加入した場合、従業員の離職によってその従業員の分を解約しなければならないという事です。対策としては、役員の方のみで加入するとか、例えば入社5年以上の男性社員のみというような一定の規定を作って被保険者にする等です。 |
いずれにしても、顧問税理士先生から案内がない限り、「保険で節税」は、なかなか気づかないと思います。例えば記帳代行のみで、コンサルティングが出来ない、あるいは、してもらっていないという顧問税理士先生の場合は「節税」や「決算対策」のアドバイスはないので、知られていないことが多いと思います。
また、既に節税保険を導入している会社は、同業者やライバル企業に教えることはないと思います。 |
※「CV」は、キャッシュヴァリューのことです。
各年ごとに(契約時からの経過年数ごとに)今まで払った保険料の累計、各年ごとの解約返戻金、解約返戻率(解約返戻金/保険料累計)、保険に加入することによって節税できた金額を加味した返戻率などが載っている表です。
例)毎年の利益を2,000万円、法人税率を40%とする。 |
| 節税しなかった時 単位(万円) |
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1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
6年目 |
| 利益 |
2,000 |
2,000 |
2,000 |
2,000 |
2,000 |
2,000 |
| 法人税 |
△800 |
△800 |
△800 |
△800 |
△800 |
△800 |
| 手元現金 |
1,200 |
1,200 |
1,200 |
1,200 |
1,200 |
1,200 |
| 年払1,000万円の節税保険に加入した時 単位(万円) |
| |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
6年目 |
| 利益 |
2,000 |
2,000 |
2,000 |
2,000 |
2,000 |
2,000 |
| 保険料 |
△1,000 |
△1,000 |
△1,000 |
△1,000 |
△1,000 |
△1,000 |
| 法人税 |
△400 |
△400 |
△400 |
△400 |
△400 |
△400 |
| 手元現金 |
600 |
600 |
600 |
600 |
600 |
600 |
| 解約返戻率 |
70% |
75% |
79% |
81% |
83% |
85% |
| 含み資産推移 |
700 |
1,500 |
2,370 |
3,240 |
4,150 |
5,100 |
| ※6年目、帳簿外含み資産として5,100万円(保険の解約返戻金相当) |
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